ぷよぷよDrのムキムキダイエット

内科医による駆け出しダイエッターの備忘録

アルコール、筋トレとの相性どうなん?

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どーもぷよぷよDrです。

 

飲み会のメニューについていろいろと語った前回。

今回はアルコールについて体にどんな影響があるのか、

また、筋トレとの相性はどうなのかってことをまとめてみようと思います。

 

アルコールといえば肝臓のダメージ

よく知られているアルコールの身体的ダメージといえば肝臓ですね。

ビールジョッキ1杯で大体12g前後のアルコールを含んでいますが、

肝疾患といってもさまざまな程度があります。

アルコール性脂肪肝⇒アルコール性肝炎⇒アルコール性肝硬変という順にダメージの重症度は増します。ちなみに肝硬変まで進んでしまうと基本的にはアルコールをやめても治癒しません。

 アルコール性脂肪肝には実は数日から数週間で病気は完成します。健診でお腹のエコーを受けるとか、一般の採血で調べることが可能です。脂肪肝や肝炎レベルですとアルコールをやめて数週間から数ヶ月レベルで改善が見込めます。

 

どの程度の量を

アルコールを飲むと

肝疾患が生じるのか問題

 

気になるところですよね。一応目安があります。

生中ジョッキでアルコール12gと換算すると

男性では60g(5杯)/日、

女性では20g(1.5杯)/日

をそれぞれ10年間続けることで肝炎あるいは肝硬変が生じます。

 

ただこれはあくまで目安です。そして外国人のデータですので日本人はおそらくはもっと少ない量でアルコール性肝疾患に罹ってしまうでしょう。

 

 

脳への影響

飲酒が長年続く場合、全身の神経にダメージが及びます。中でも中枢神経と呼ばれる脳にも重大なダメージが生じることが分かっています。残念ながらどのくらいの量をどのくらいの時間飲むと脳にダメージが生じるのかというのは不明ですが、指先や足先の異常感覚を自覚する人が多いようです。

 

よくコントなんかで酔っ払いの千鳥足を表現していますけど、あの症状は小脳の平衡感覚をつかさどる器官へのダメージですね。長年のダメージで小脳が萎縮し歩き方とか姿勢にも異常がでることが分かっています。そして一番知って欲しいのは認知症

飲酒で脳の萎縮が始まり痴呆状態を招くことも事実ですがあまり知られていません。依存症になると約50%が脳の萎縮が見られるといわれています。

 

 

少し脱線しますが依存かどうかは難しい問題です。そもそもアルコール依存症の人は自分がアルコール依存状態に陥っても自覚がないのが特徴です。

以下cage testといって目安を載せておきます。4つの質問で2つ以上当てはまる場合はアルコール依存症の可能性がグーンと上がります。治療のために病院へGoです。

 

CAGEテストは、4項目で判定する簡易的なテストです。

1. あなたは今までに、飲酒を減らさなければいけないと思ったことがありますか?

(Cut down)

2. あなたは今までに、飲酒を批判されて、腹が立ったり苛立ったことがありますか?

(Annoyed by criticism)

3. あなたは今までに、飲酒に後ろめたい気持ちや罪悪感を持ったことがありますか?

(Guilty feeling)

4. あなたは今までに、朝酒や迎え酒を飲んだことがありますか?

(Eye-opener)

 

 

以上がCAGEテスト。

身体的依存と精神的依存とがあって、身体的依存はアルコールの血中濃度が下がってくるとそわそわしたり身体にその症状がでることですが

精神的依存は評価が難しいことがあります。10キロ離れた酒屋に車が無くても歩いてお酒を買いにいけちゃうくらいお酒を欲している場合を想像してみてください。

通常お酒を手に入れるのに大変な苦労をするなら私たちはあきらめます。でもこのあきらめができないのが精神的依存状態です。参考に。

 

 

睡眠への影響

さて、アルコールの脳ダメージに戻ります。意外や意外なお話です。

睡眠障害を引き起こすというのを知っていますか??

ちまたでよく言われているのは『お酒を飲むと良く眠れる』ではないですか??

実はこの話自体は正しいのです。睡眠導入までは効果があるといわれています。

しかしそのあと、眠りについてから起きるまでの睡眠の質が最悪なんです。しかも翌朝起きるまで、つまり一晩中睡眠の質を落とすことが分かっています。

具体的には

・REM睡眠が増える

・深睡眠が減る

・睡眠時無呼吸を起こしうる(筋肉が弛緩していびきをかくパターン)

飲酒後だけいびきをかく人は要注意ですね。睡眠時無呼吸状態になっているかもしれません。睡眠時無呼吸は高血圧とか、脳梗塞心筋梗塞になりやすいですし、日中の我慢できない眠気で交通事故を起こすことがありますので結構危険です。

 

 

癌のリスク!

なんとなく、あるいはまあそうでしょうねと感じている人もいると思います。

ビール中ジョッキ一杯程度の飲酒、100ml程度のワインであれば1杯までなら実は

『酒は百薬の長』になりうる量なのですが癌に関してはそうではないんです。

特に女性の場合は中ジョッキでいうと1.5杯/日程度で乳がんリスクが1.4倍に。

 

そしてビール中ジョッキ3杯以上で男女問わず口腔~食道癌のリスクは3倍、直腸がんのリスクは1.5倍です。7杯以上でさまざまな癌のリスクは5倍以上に跳ね上がるようです。

 

酒は百薬の長を目指すのであれば中ジョッキ1杯まで!

 

アルコール性ミオパチー

おそらく筋トレ愛好家に関して最重要関心事ではないでしょうか。

ミオパチーと聴くとなんじゃそら!と思う人も多いかもしれません。でも聴きなじみの無い病気なのであまりいい状態ではなさそうですよね。

 

ミオパチーはmyopathyと書きます。-pathyは~症と言う意味で

myo-というのは筋肉のことです。

 

そうです。アルコールは筋肉にダメージを与えることが知られています。

急性の筋障害では筋肉痛が出たりします。横紋筋融解といって文字通り筋肉とけます。

また、慢性では痛みを感じることなく筋肉にダメージが生じたり。筋肉自体が萎縮する原因になっています。つまり、筋肉を大きくしたいとか体型を維持したい人には実はアルコールは非効率的なんです。特にお尻周りと肩の筋肉が落ちるようですので注意が必要です。どの程度の量でどの期間飲酒すればそうなるかは不明ですがアルコールには筋肉へのダメージがあることを知って飲酒するかどうかに向き合うのが大事かもしれません。

 

 

 

 

と言うわけでアルコールと筋トレの相性は決してよくないことが分かりました。

量も期間も不明なのでなんともいえませんが百薬の長を目指す程度であれば

中ジョッキ1杯のビールに留めておくのが健康でいられるラインなのかも知れませんね。是非参考にしてみて下さい。では!